2021-03-26

圧巻のむつみひまわりロードを、たった一人で黙々と。

|そこにあるスタンダード|むつみひまわりロード web版

今年も670万本の菜の花が、春風に揺られて咲き始めました。
4回目となる「菜の花まつり」は、4月11日に開催予定。
里山に春を告げる絶景として、夏にはひまわりが咲く広大な畑を彩っています。

萩市の中でも、農業生産の大きな役割を果たすむつみ地域。
トマトや大根、お米など、従来の特産品に並ぶ代名詞となっているのが「ひまわりロード」です。
市内外から多くの人が楽しみに訪れるこの花畑が、むつみ地域初の観光事業だって、知ってましたか? 山あいの村で起きた一つのイノベーション。その由来ときっかけ、維持、全てに関わっているのが大田直志(おおた・なおゆき)さんです。普段は早口過ぎるほど冗談がお好きで、お茶目な面を見せてくれる大田さんですが、夏の暑い日も黙々と、ほぼお一人でひまわりを育て上げています。

『つぎはぎvo.4』のP11-12で書き切れなかったストーリーや思いを、ここに綴ろうと思います。

旧むつみ村だった1989年ごろ、村民の高齢化は明らかでした。当時職員だった大田さんが担当する保健事業として始まったのが、ひまわりの種を全戸に植える「1戸1アール運動」。循環器疾患率が高かった村民に、コレステロール値を下げる効果が期待されているひまわりの油を摂ってもらおうと、食用ひまわりの種を全戸に配布しました。これは村民に好評で、庭や畑を彩るほど普及し、いつしか村を象徴する風景の一つになりました。
2年後には、伏馬山(ふすまやま)ふもとの約3haにひまわりを植え、「健康いきいきひまわりロード」が完成。火山灰の黒ぼく土は、花や野菜の栽培に適していることから、休耕田だったこの地が活用されました。絶景の評判は徐々に高まり、いよいよ1999年、村は「ひまわりロードフェスタ」を企画し、初めての観光事業に着手。交流人口が生まれるきっかけとなりました。

管理は地元住民を中心とした「伏馬ひまわり栽培部会」が2004年から手掛けていましたが、病気や高齢化の波が、活動を阻むようになりました。
2016年、大田さんが市職員を退職すると同時に栽培を引き継ぎました。「一人でやるにはワケがある。ひまわりロードの始まりから携わってきた、自分の思いで成り立っている“自分の仕事”」。
昨年は、長雨による日照不足とコロナが大きく影響しました。「最近は、異常気象で気が気じゃありません。継続は簡単ではなく、1年、1年で考えている」と大田さん。

それでも、今年の菜の花畑は前年比1.34倍の4.7ha。3月17日には自ら菜の花迷路をつくり、畑の中の特別テーブルを設置しました。また、夏の「ひまわりロードフェスタ」は7月25日(日)に予定され、ポジティブな動きをどんどん進めています。

先日、大田さんは詩人・八木重吉の詩に出会い、菜の花畑に掲げました。

< 花はなぜ美しいか ひとすじの気持ちで咲いているからだ >

大田さんの真っ直ぐな志を表す、心に響く言葉です。

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